がんを生き、働く vol.1

がんを生き、働く vol.1 働き続けるための制度を知ろう

がんを生き、働く vol.1

働き続けるために相談機関を利用しよう

今や、日本人の2人に1人はがんに罹患する時代、がんは決して珍しい病気ではありません。また、医学の進歩に伴い、がん患者の10年生存率は6割近くになり、「不死の病」ではなくなりつつあります。治療は入院から外来へシフトされ、働きながら休暇を取って治療を続けることも少なくありません。
とはいえ、がんと診断されると「治療に専念しなくては」「完全にがんが治ったら復帰しよう」「会社のみんなに迷惑をかけたくない」・・・と早期退職をする人が多いのも現状です。でも、退職することは本当にベストな選択でしょうか?今、職を失うと収入はどうなるでしょう。治療費にはお金がかかるし、もちろん生活費も必要です。就労に配慮が必要な状態で職を失うと、新たな職を見つけることはなかなか困難です。退職はいつでもできます。だから、まずは「しごとを続ける」ことについてがん相談支援センターなどに相談してみましょう。
がん診療拠点病院等には、がん相談支援センターが設置され、がんに関する相談窓口を設けています。また、病院によっては就労支援を専門とする社会保険労務士が派遣されている場合もあります。たとえセンターが設置されている病院で治療を受けていなくても、相談することはできます。がんと診断され、心身が弱っている時には大きな決断をすることは避け、誰かに相談してください。

職場の制度を知って、周囲の理解を得よう

しごとを続ける上で大切なのは、会社の制度を知ることです。まずは、自分がどのような条件で雇われ、働いているのかが記載されている労働条件通知書や雇用契約書、就業規則などを確認しましょう。治療で休暇を取ったり、早退する場合にはどういう扱いになるのかは会社によって異なります。就業規則などについて分からなければ、人事の担当者などに相談してみるのも手です。
また、職場で「治療をしながら働き続ける」という理解を得ることも大切です。これは、病気になる前や復職直後の人間関係、しごとへの取り組み姿勢などによって左右されることが多いと聞きます。
普段から周囲とコミュニケーションを良く取って、信頼関係を築いておくこと。こういったことは、がんになってもならなくても、しごとを進めるうえで大切なことなのかもしれません。
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働き続けるためにも、一番大事なのは自分の体

休職するときは、「しごとが滞るのでは」「引き継ぎはどうしよう」などと心配になることも多いもの。できるだけ引き継ぎ内容を書面に残したり、書類を整理したり準備するとその後のやり取りがスムーズです。ただし、急に入院といったケースもあるので、事前に準備できるとは限りません。多くの場合は急場でも部署内で対応できているようです。優先すべきことは、しごとよりも自分の体であることを意識し、無理を押して働くことのないよう体調を整えておきましょう。
治療が一段落して復職するときも不安は大きいと思います。復職前におススメしたいのが、今後の治療や検査のスケジュールの情報を主治医から得ておくこと。その内容をもとに、これからのしごとと治療の両立について会社側と話し合う機会をぜひ持ってください。上司と相談しながら復帰のプログラムを組むなど工夫するのも良いでしょう。復職すると「今までの分まで」と頑張りすぎる傾向がありますが、無理は禁物です。今の体調を見ながら、無理のない範囲で徐々にしごとを増やしていってください。
復職するときに自分のがんを職場に公表することを迷う人はとても多いのですが、迷うのであれば公表しなくてもOKです。ただ、労務管理を行っている上司には、病状をきちんと伝え、しごとをする上での留意点や休暇について話し合ってみてください。働くための環境づくりを一緒に考えていく、というスタンスが大事だと思います。

教えてくれた人・・・

1992年横浜市立大学医学部附属浦舟病院入職。2005年公立大学法人化に伴い「横浜市立大学附属市民総合医療センター」と改称した同院で勤続。2014年日本看護協会認定乳がん看護認定看護師を取得。地域がん診療連携拠点病院専従看護師として、2015年よりがん相談支援センターに所属、看護の実践経験を活かし相談業務を担当。治療・療養上の支援、予防・早期発見の情報提供、セカンドオピニオン等、院内及び地域からの相談を受けている。認定がん専門相談員。
公立大学法人横浜市立大学附属市民総合医療センター
看護師 東谷由美香

看護師  東谷さん
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