不妊治療をしながらしごとをする、ということ vol.1

「いつかは子どもを」と思ったら

日本のカップルの3組に1組以上が「不妊」を心配

「そろそろ子どもがほしい」と考えたとき、避妊をやめて、すぐに念願通りの妊娠する方もいれば、なかなかうまくいかないなぁ・・・と感じている方もいらっしゃるでしょう。
そして「うまくいかない」期間が長くなると「もしかしたら不妊?」と落ち込んだり、不安になってしまったりしますよね。

妊娠・出産は、実はそう簡単にはいかないものです。でも、不安になっているのはあなただけではありません。実は、日本のカップルの35%、3組に1組以上が「不妊」を心配したことがあるのです(※1)。実際に不妊治療や検査を受けたことがある/受けているカップルは18%で、5.5組に1組。さらに、子どものいないカップルの28%、つまり3.5組に1組が不妊治療を受けています。そして、2014年に生まれた赤ちゃんの21人に1人は体外受精で生まれている(※2)のです。

「不妊」はひとりで抱え込んでしまいがち。でも、「あなただけがすぐに妊娠できないわけじゃない。そしてあなたはひとりぼっちじゃない」ということを、わかっていただけたら嬉しいなと思います。

(※1)国立社会保障機構・人口問題研究所 「第15 回出生動向基本調査 結果の概要」(2)不妊についての心配と治療経験より
(※2)平成27年度倫理委員会 登録・調査小委員会報告(2014年分の体外受精・胚移植等の臨床実施成績および2016年7月における登録施設名)より

「不妊」についてパートナーと話してみよう

今、日本では、避妊をやめて1年間妊娠しなかったら「不妊(症)」と定義づけられています(日本産科婦人科学会)。もしも当てはまるようでしたら、ぜひ一度、パートナーと一緒に、お近くの「不妊検査ができる病院」に行って、検査だけでも受けてみませんか。検査で問題がなければ安心ですし、何かあっても早目に対処すれば妊娠への近道になることもたくさんあります。

世界保健機構(WHO)の統計では、不妊の原因について女性側のみが41%、男性側のみが24%、男女双方が24%、原因不明11%とされています。つまり男性に原因がある不妊は約半数の48%で、「不妊」は男性の問題でもあるのです。

不妊治療は、女性は婦人科、男性は泌尿器・腎移植科で行われていますが、横浜市には、カップルで不妊治療できる横浜市立大学生殖医療センター(神奈川県で唯一、泌尿器科、婦人科が一緒に生殖医療を行っている施設)があります。カップルが同じ施設で治療ができ、治療の効率化もはかられ、男性も積極的に治療に取り組みやすい環境が整えられています。また、日本で数少ない「不妊」のスペシャリストの看護師(不妊症看護認定看護師)もいて、カップルへの必要な情報提供や自己決定の支援を行っています。

不妊治療の流れ

不妊治療は、まず男女ともに検査を実施し、そのカップルに必要最小限の治療を行なって、それで妊娠・出産に至らなかったら、次の段階の治療に進むという「ステップアップ」方式で進むケースが一般的です。

具体的には、検査の上で何らかの原因が見つかったらその治療を行ない、原因がない場合は「タイミング法」(排卵日の特定)→「人工授精」と段階的に進んでいきます。人工授精では妊娠の可能性がないか極めて低いと判断されると、「体外受精」→「顕微授精」が行われます。

次回は不妊治療に対する助成金についてお伝えします。

教えてくれた人・・・

長崎市生まれ。不妊の経験を活かして友人と共著で本を出版。それをきっかけにNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げる。Fineは厚生労働省への各種要望書の提出⇒認可を多数実現しているほか「不妊ピア・カウンセラー養成講座」や「医療施設の認定審査」、「不妊治療の経済的負担軽減のための国会請願」など、日本初のさまざまな活動を実施。また患者の体験を踏まえた講演・講義や、患者のニーズを広く集める調査を継続的に実施、広報するなど、不妊や妊活の啓発に努めている。自身はNPO法人設立当初より理事長として法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ等)として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)『ひとりじゃないよ!不妊治療』(角川書店)など。
NPO法人Fine理事長/一般社団法人 日本支援対話学会理事
松本亜樹子

NPO法人Fine理事長  松本さん
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