不妊治療の何が大変?
不妊治療=高額な費用?
不妊治療というと高額な費用がかかるイメージがあります。でも、不妊検査や治療の初期の段階の「タイミング法」ならほとんど健康保険が適用されるので、費用もさほどかからずにすみます。
治療が「人工授精」に進むと、健康保険が適用されず、費用は平均して3万円~5万円程度。「体外受精」は30万円~程度、「顕微授精」は40万~程度となり、かなり高額で、負担も大きくなってきます。
ぜひ、横浜市の助成金や、医療費控除のしくみを知っておきましょう。
■横浜市特定不妊治療費助成制度
横浜市では、市の指定医療機関で特定不妊治療(「体外受精」と「顕微授精」)や所定の男性不妊治療を行った場合で、年間の世帯合計所得等、いくつか要件を満たす場合、健康保険が適用されない治療費の全額または一部の助成を受けることができます。
■医療費控除
1年間で医療費10万円(世帯合算が可能)を超えた部分を所得から控除することで税金の還付を受けられる制度です。不妊治療費は医療費控除の対象となっていて、助成金を受けていたとしても医療費控除ができます。ただ、助成金や医療保険の給付金の額は、確定申告の際に申告する医療費の金額から差し引かれることになります。
しごととの両立の大変さ
NPO法人Fineの調査では、実に92%の方が「しごとと不妊治療の両立は困難である」と答えています。では、しごとをしながら不妊治療をすることは、何がそんなに大変なのでしょう?
まず、通院の回数が多いこと。タイミング療法や人工授精の時には、月に3~6日程度だった通院回数が、体外受精になると、注射や検査、施術等で、少なくとも6~10数回は病院に通わなくてはなりません。
その上、病院は混んでおり、2~3時間待ち、ときには早朝(開院前)から並んでも終了がお昼すぎということも珍しくありません。そうした通院が増えてくると、どうしても、しごとにしわ寄せがきてしまうのです。
さらにその通院が突発的であることも困難な要因の一つです。治療は本人の体調(卵巣等の状況)次第のため「あらかじめこの日に休む」ということが決められません。病院に行ってみてはじめて「明日も通院」「明後日も通院」が決定するため、急な遅刻や早退が必要になってくるのです。
また、その分たまってしまったしごとが、周囲に回ってしまうこともあります。そうした職場での人間関係の悩みも後を絶たず、「責任のあるしごとができなくて申し訳ない」「周囲の人たちに迷惑をかけてしまうことがあり、心苦しい」などと悩む声もよく聞かれます。
しかも、体外受精でも1回の出産率は、平均したら12%と決して高くないのが現状です。何度か繰り返して治療を受ける中で、次第にしごととの両立が苦痛になってくるのは無理もないことでしょう。
しかし、最近では、「不妊治療休暇」「治療費の一部補助」など不妊治療サポート制度を導入する企業が少しずつ増えてきました。ご自分の職場の制度について今一度調べたり、人事労務担当の方に問い合わせしてみると、心身の負担が少し軽くなるかもしれません。
次回は、横浜市の相談窓口などについてお伝えします!