資金ゼロから「ひろばカフェ」を開いた社会起業家。  突き動かす想いには素直に 

資金ゼロから「ひろばカフェ」を開いた社会起業家。
突き動かす想いには素直に

NPO法人こまちぷらす 代表 森祐美子さんMori Yumiko
女性キャリアモデル森さん
わたしの強み
巻き込み力
このしごとに必要な力は?
アンテナを張る力、なんとかなると思う力、
ネットワーク力
年齢
34歳
家族
夫、娘(小4)、息子(小2)

「ひろばカフェ」事業でビジネスモデルをつくる

女性キャリアモデル森さん写真

こまちカフェにて

「ハコ」を提供してもらったおかげで、大きな投資はほぼゼロ、借金というリスクがなかったぶん、人や組織を育てること、サービス内容に力を入れることができました。ホームページ開設、戸塚区内の子育て情報冊子や地域こそだてカレンダー(近隣の子育てイベントデータベース)の作成など、広報や情報事業も開始しました。広報力アップと口コミ効果か、週1の開業でもほぼ欠かさず、お客様にいらしていただけました。
任意団体でのスタートでしたが、法人化するまでは個人事業主として開業届を出しました。理由は、ママのサークル活動ではなくビジネス、つまり、お金が回る仕組みにすることを目標にしていたから。届を出したのは、覚悟を決めるためでもありました。
「居場所」の事業というのは、行政がお金を出して回っているところが多いです。それは、もちろんいいのですが、行政からの補助がなくなってしまったら、場もなくなってしまう可能性がある。だから、私は自主財源で「居場所」の事業を続けていけるモデルをつくる必要があると思っていました。メニューの価格も事業が回るよう設定して、ほんの僅かですが初月から謝礼を出せるようにしました。
一人で起業する人もいらっしゃいますが、自分一人でできることは限られています。この事業の骨格を決めた時、ママ友のメンバーに「こんなことやろうと思ってるんだけど、この部分を手伝ってくれる? あなたのスキルのここが必要なの」と声をかけていきました。その一人ひとりの力があって、今の活動があります。

チャレンジショップ事業を通して整備

女性キャリアモデル森さん写真

こまちカフェメニュー

それから半年ほどで、定期的にランチ会を開催していた助産院さんから声がかかり、戸塚に移転しました。そこで週1でカフェをしていると、私たちの活動に共感して、調理師免許をもった人や料理の経験がある人が仲間に加わってくれるようになり、調理スタッフを少しずつ確保することができました。スタッフの子どもの保育など課題はありましたが、常設店舗開店に向けて基盤をつくっていったのが、この時期でしたね。
やっと常設店舗を運営していく環境が整ってきて、たくさんの物件をあたって、ようやく場所を確保したのですが、近隣の方の理解が得られずに、ダメになったことも。場を持つということの意味、地域の方の理解について大きな学びを得た機会でした。
でも、そんな時、助けてくれたのはお客様でした。Facebookやブログに私たちの現状と探している物件の条件を掲載したら、たくさんのお客様が、情報を寄せてくれました。
そのなかで複数の方が提案してくださったのが、区画整理地域でのチャレンジショップへの出店です。横浜市ととつか宿駅前商店会との連携で行われた事業で、仮店舗の空きスペースを利用して飲食店の誘致をしたいとのことでした。家賃は安い、駅から5分と好条件。ただし、約1年半の期限が来たら立ち退かなければならない。期間限定の条件に悩んだのですが、応募を決意し、面接等を経て、営業できることになりました。1年半の期間限定って、見方を変えれば、今後の事業を練る猶予を1年半もらったとも考えられますよね。

任意団体からNPO法人に

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最高のメンバーと!

こうして、常設店舗を2013年4月にオープンして、同時期にNPO法人格を取得しました。常設店舗ができることで、いろいろな可能性を期待して、胸躍らせてスタートしたのですが、毎日オープンさせるため急速にスタッフを増やし、スタッフの子どもの保育問題やコミュニケーション不足からくる行き違いなど、課題がたくさん出てきました。
NPOの理念に共感して集まってくれた人たちではあるけれど、価値観もバックグラウンドも違う。組織の立て直しのために、一時、お店を閉めたこともあります。今、ふりかえってみると、組織として大切なのは何なのか、事業として運営していくために何が必要か、立ち止まって考える貴重な機会になったと思います。
常設店舗になって、多くのお客様に来てくださるようになったのですが、2014年10月までの期限付きです。私たちは子育て中でこれからお金がかかるし、次の店舗探しにあたって、どうしても借金をしたくなかった。それを実現する手段としていきついたのが、「ヨコハマ市民まち普請事業」というビジネスコンテストを活用することでした。このコンテストを勝ち抜けば、施設整備に必要な補助金をもらえて常設店舗を構えられる。コンテストは、10カ月以上の長期戦でしたが、「なぜ、ひろばカフェが必要なのか」「まち全体にどういう効果を及ぼすのか」、審査員に納得してもらえる説明ができるよう、何度も何度もプランを練り直しました。
このコンテストに参加して得たものは、たくさんあります。あの10カ月で、発想が変わりました。起業って、自分たちがやりたいものをつくるんじゃなくて、みんながほしい、やりたいっていうことを「一緒に作っていくもの」なんですね。そうすると、できたあともみなさんが関わり続けてくださって一緒に汗をかいていける。自分たちだけでがんばるというのじゃなくて、いかに、みなさんと一緒に事業を続けていけるかを考えるようになりました。

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